具体的な自治体政策

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具体的な自治体政策の方向性

 「地域から希望をつくる5つ星メッセージ」にそって、自治体における具体的政策の方向を示す「第1次案」です。
 議員・候補者のみなさん、そして市民のみなさんのご意見をお寄せください。
  *ご意見は ➡お問合せフォーム から
  *ご意見締切 12/20(木)
  *PDFファイルは ➡こちら

     

 

★地域経済拡大型から成熟型の地域循環経済へ

 2015年に1億2700万人の総人口が、50年後には8200万人へと35%も大幅に減少することが確実な時代に、人口増と拡大型の地域経済活性化策に未来はありません。それは人口と富の奪い合いによる地域間格差、中山間地の疲弊を引き起こすだけでしょう。今ある地域の人と資源を有効に活かし、富の流出を抑制する地域循環型の地域経済を促進することこそ、持続可能な地域社会の基盤です。

(1)お金をまわす ~地域金融機関を中心とした「地域内投資」を増やし雇用を増
 子育て世代向けの低利の住宅ローン、再生可能エネルギー導入など地域循環型プロジェクトへの地域の金融機関の融資を拡大します。自治体が保証する各種制度を積極的に拡大し、特に環境負荷削減や地域産業育成の効果が大きな政策に向けて金融政策で誘導します。地方銀行や農協とも連携してこれらの政策を行います。そして再生可能エネルギー、農林業、介護・医療・子育ての分野で多くの雇用と仕事を創り出します。

(2)「都会」への流出をとめ、地域内で、モノ・サービス・資金が循環する仕組みを拡大します
 大規模公共事業やメガソーラーなど地域のカネ・ヒト・モノが「都会」に流出しています。外部依存を最小限にとどめ、地域経済の主役となる中小企業や個人事業主、さらには新たな担い手としてのNPO、協働労働の協同組合等により、エネルギーや農工産物の地産地消など、地域内で、モノ・サービス・資金が循環する仕組みを作ります。
 また、商店街の良さを見直し、福祉拠点などとも連携した「顔の見える」商業施設を育成します。大型商業施設の地方進出には条例などで一定の歯止めを行います。プレミアム商品券も地域商業育成につながる手法で導入します。これらの指標として「地域内循環係数」を用います。

(3)市民のための「規制緩和」に ~カジノなど無秩序な緩和には反対、市民に近づける地方分権をすすめます
 グローバル経済戦略に基づいた規制緩和や過度な観光重視を進める路線には反対。地域経済をさらに破壊し、特定の利益者のための政策になる危険性があります。カジノをはじめとする無秩序な規制緩和には市民の立場で反対します。一方でソーラーシェアリングの規制(ソーラー下の農地への年間生産量確保)など実態にあわない全国一律の規制には市民の立場で規制緩和の議論を起こします。市民に近い地方自治体へ権限を移譲する地方分権をすすめます。

(4)正規雇用を中心とした多様で安定し、ゆとりある働き方をまずは自治体からすすめます
 地域の企業を中心とした働き方の調査など自治体でできる部分から実態を明らかにしていきます。そしてまずは足元の自治体から改善します。自治体が雇用している自治体職員自体の「非正規」職員を減らし、障害者雇用率を法定以上に確保するなど多様で安定した働き方を実践します。正規職員の時間外労働を減らし、その分を雇用数の増大や「非正規」職員の待遇改善につなげます。
 また、公契約条例などを通じて自治体が発注する事業や物品購入、指定管理者制度等の「調達」において理念をもった雇用政策に誘導してきます。

(5)AIやICT導入など技術も「ヒト」を大事にすることから、付加価値の高い産業育成とヒトへの産業投資を増やします
 人口減少社会を迎える現実をむかえ、単なる「人口増」対策ではなくコンパクトシティー化やAIやICTの導入、キャッシュレス社会化などで「少ない産業人口でも経済が回る仕組み」をつくります。ただし、民間が貧弱な地域については自治体がインフラ整備などを進めます。どこでも仕事ができるソフト産業(ネット関係、コンテンツビジネス)の良さを生かして地域経済を活性化させます。高齢化時代を迎え介護対象者の増加や社会人教育の重要性を契機に、教育や福祉などのヒトを大事にする産業に投資し、将来の目を育てます。

★女性議員女性議員を増やそう!自治体議会に多様性を

 市区町村と都道府県議会の女性比率は2016年末で12.9%、女性議員ゼロ議会は21.1%で368自治体にもなります。国会議員の女性比率は10.1%で、191か国中158位(2018.6.1列国議会同盟)です。候補者男女均等法(政治分野における男女共同参画推進法)が施行され、国、自治体、政党の取り組みも迫られます。女性をはじめとする多様性に開かれ、地域や暮らしの視点が反映され、熟議が活性化する自治体議会をめざします。

(1)意思決定の場の女性の参加率を増やし、リーダーを育てます
 附属機関(審議会)の規則整備や条例化により、女性比率の増加を数値目標化します。他に市民公募義務化、同一人物の重複参加の防止、若者世代のクォータ(割り当て)などで、多様な市民の声を反映させます。
 自治体の女性幹部増加については計画策定を進め、進行管理も行います。「女性議員比率が多い自治体は豊かな自治体」につながっています。よりいっそうの女性議員の挑戦を支援します。

(2)台風・水害など多発する災害への対策に対して、女性や障害者など多様な視点を導入します
 避難計画や避難所設置マニュアルにおいては、女性やLGBTの人をはじめとした災害弱者の視点から計画をチェックします。障害者の避難については自治体職員や地域の人を含めた避難支援策の立案を、当事者とも話し合いながら作り上げていきます。

(3)市民参加を重視した、特権意識のない自治体議会の改革、地域予算制度づくりに取り組みます
 育休・介護制度の創設や議会での託児、自宅での会議参加など女性議員らへの支援策を強化します。議会主催による議会報告会を行い、提言された内容を議員同士が熟議して政策にして自治体に提言します。政務活動費はインターネット上に領収書まで公開します。紙媒体の改革、インターネット中継やSNS導入など若者世代にも伝わりやすい議会広報を行います。
 地域の中でも分権を行い、地域の自治組織へ予算をつける地域予算制度をつくります。

(4)LGBTQ(SOGI)など多様な性、外国籍・外国ルーツ住民とともにある自治体運営を行います
 自治体で同性パートナーを含めた事実婚パートナー制度を導入します。自治体住民以外の住民にも権利を認める「ふるさと住民票」など、国の制度にとらわれずに自治体が独自に認証や政策の中で位置付ける制度を拡充し、制度のすきまを埋めます。外国籍住民の声を聞く審議会や住民投票への対象とすることで意思決定に参加する制度をつくります。またLGBTQ(SOGI)や、教育現場での外国人ルーツの子どもたちへの相談支援を行います。

(5)透明な自治体運営にむけて、文書管理や意思決定のあり方を見直します
 文書管理条例を制定し、文書の保存年限や公開基準を明らかにします。受け身の「情報公開」だけでなく、積極的に情報を伝える「情報提供」を充実させます(情報公開室の充実、ネットでの請求や公開)。
 重要な政策を決める市長をトップとした政策会議などは公開で行い、市民や議会がチェックできる体制をつくります。男性・高齢者を中心とした前例主義の古い政治から、女性・若者の感覚を大事にする自治体運営へ転換します。

★地球温暖化ストップ温暖化&原発ゼロを地域から

 地球温暖化対策を放置すれば、2100年には東京の最高気温は44度、札幌は41度にもなり、気候変動による災害は年17兆円以上もの被害額になると、環境省は予測しています。環境と資源の有限性を超えて、原発をはじめ欲望を無限に拡大しようとする経済活動と暮しのあり方は、将来世代へ多大な負担を押し付けることです。環境優先の持続可能な経済・社会への待ったなしの転換が求められています。

(1)2030年に2013年比で40~50%の削減をめざす計画を
 パリ協定にもとづいた野心的な目標設定とそれに沿った2030年度目標を作成すべきです。2050年にはCO2の排出を実質ゼロにし、2030年には半減が求められています。EUは90年比で40%削減、アメリカは90年比で27%削減です。日本政府の現在の目標「2030年に2013年比26%削減」は90年比で18%削減なので、「90年比で30%以上の削減(2013年比では40~50%の削減)」を目標にすべきです。
 環境省データや企業へのアンケートを通じて地域内のエネルギー消費状況の正確な把握を行い、地域実態にあったCO2削減策を盛り込んだ計画をつくります。報告要請や努力義務からはじめ、強制力のある条例化をめざします。将来的には都道府県単位での排出権取引を実現します。

(2)公共交通網の促進など持続可能な社会づくり ~SDGsを自治体政策に盛り込む
 SDGs(持続可能な開発目標)2030年に向けての目標を自治体から達成させることをめざします。特に公共交通政策を重視します。ノーカーデーの設定や社会実験などで公共交通普及を。コミュニティバスの運行、施設間の無料バスの運行などに自治体の財政支援も行います。石炭火力発電所建設は持続可能性のある社会づくりに逆行するものであり、反対します。

(3)原発ゼロへ 再生可能エネルギーの拡大と省エネを ~再生可能エネルギー100%自治体をめざします
 再生可能エネルギーの潜在的可能性を調査・公表し、民間参入を促します。再生可能エネルギー100%自治体をめざしつつ、余力のある地域とエネルギー消費地(都会)の需給をマッチングさせて双方が活性化するエネルギーの「地産都消」を進めます。電気に偏ったエネルギー政策を転換し、熱利用も含めたエネルギー計画を策定すると同時に、公共施設の断熱など省エネルギーも進め、地域からも脱原発に取り組みます。
 原発立地周辺地域では事故のシミュレーションや避難計画の検証を行い、安全協定の強化、稼働や設備変更に関する自治体同意を徹底させます。

(4)命が大切にされる社会へ ~予防原則にもとづいた環境規制、動物愛護
 薬害や公害被害者の救済やふりかえりを通じて、市場に任せず予防原則に基づいた環境規制の重要性を再認識します。グリホサートなど有害な農薬を公共施設の除草剤に使用しません。
 同じ生き物である動物を大切にするため、殺処分ゼロ政策の改善をはかります。
 また動物愛護、健康維持、食物タブーのない国際食としての菜食の普及を推進します。給食の月一回程度のミートフリーデー導入や自治体が経営する食堂への菜食メニューを導入します。

(5)市場原理にもとづく大規模開発ではなく、地域と伝統に根ざした持続可能な農林業へ
 グローバル化への対策として打ち出されている「大規模化」ではなく、地域を支えてきた小さな農林業を重視します(国連は2019~2028年を「家族農業の10年」とすることを決定しています)。「環境」や「景観」など市場原理とは別の価値観に基き、公的な支出や、種子法廃止に対抗する種子条例制定を行い、地域に根ざした農林業の育成を行います。
 またバイオマス産業、小水力などのエネルギー産業、エコツーリズムなどの観光産業などとの組み合わせ、そして人材育成や田園回帰を進めることで地域自立をはかることをめざします。

★格差と貧困社会保障拡充の財源は、消費税より環境税・所得税改革優先で

 6~7人に1人という高い貧困率が続き、生活不安の解消が求められています。社会保障の拡充のための財源確保は、逆進性を温存した消費税2%(5兆円)増税ではなく、まずは「CO2削減をめざすEU並みの環境税」や「格差是正をめざす公正な所得税・金融資産税」などの税制改革を優先すべきです。これからの時代は、環境と福祉の持続可能性を結びつけた政策が、国と地域の両方に求められています。

(1)大胆な政策転換を ~無駄をなくして、教育・福祉に回す
 先ずは無駄をなくすことです。地域には多くの公共施設があり、その維持管理が大きな負担になっています。公共施設の維持費や建て替え費用を考え、施設の持続可能な統廃合や再配置を行います。無作為抽出の市民による討議や事業仕分けの判定など、既存の政策を徹底的に見直します。
 見直した結果、浮いた財源は財政の健全化にも注意しつつ、教育や福祉分野に思い切って使います。自治体独自の課税を検討し、国と地方との税源移譲を徹底的に考えて税とサービスの関係をわかりやすくします。将来的には地方自治体の連合体が総務省に代わって地方財源のあり方を決定していきます。

(2)若者支援 人生前半の社会保障の強化を
 所得格差が累積、固定化し、個人が生まれた時点で同じスタートラインに立つことが難しくなっています。「人生前半の社会保障」の強化が求められています。若者の失業対策、就労・起業支援に力を入れることが必要です。そして就労相談業務を担う人の正規公務員化を進めます。
 商店街の空き店舗を自治体が買い取り、若者が事業を始めることを支援するような事業を行います。若者の住宅支援を強化します。

(3)子育て 保育所や児童クラブの待機児童ゼロ、18歳以下の医療費無料化を
 日本は、公的教育への行政からの支出が、OECD30カ国で最低です。子育て、教育への大胆な支援が求められています。
 保育所の待機児ゼロを早急に実現します。潜在待機児の把握を早急に行い、0歳児からの受け入れも含め、ゼロ目標の早期達成を行います。放課後児童クラブ(学童保育)の待機児問題も深刻です。児童クラブの増加と、作業療法士との連携など質の向上を行います。また、18歳以下の医療費無料化を実現します。

(4)教育 子どもの権利をベースに教職員への支援を強化した教育行政
 子どもの学ぶ環境を整え向上させることが必要です。学校教員の労働環境は劣悪です。教職員の時間外労働を把握し教員数を増加します。学校司書、スクールカウンセラー、事務職員、栄養教諭などは正規職員でしっかりと配置します。
 そして国連で定められた子どもの権利条約を基本とした、子どもの権利が生きづいた学校づくりを進めます。

(5)介護・医療の充実をもとにした持続可能な福祉社会をめざして
 地域で安心して暮らすためには医療・介護がしっかりとしていることが必要です。福祉施策を決める各種審議会・委員会への当事者の参加を拡大します。
 地域医療を支える公立病院の役割は依然として重要です。2018年から国民健康保険が都道府県単位化となりました。広域化が市民の過度の負担増とならないよう一般会計からの繰り入れをしっかりと考えます。
 介護現場の人材確保は重要であり、処遇改善を行います。
 学校、商店街、空き家など地域資源を活用した福祉コミュニティづくりも進められています。まちづくりや都市政策と福祉政策との連動で、高齢者がゆったりと過ごせる空間・まちをつくります。

★憲法と平和異議あり9条改憲!地域から核兵器禁止の声を

 憲法9条の改悪は、軍事同盟に基づく戦争と武力行使へのハードルを引き下げ、アジアにおける対立と緊張を著しく高める行為です。国民投票法も重大な問題点を抱えています。求められているのは平和と緊張緩和へのイニシアティブです。そのための最も有効な選択肢は、核兵器禁止条約への参加と批准です。「安全保障」を国任せにせず、地域から平和へのイニシアティブを発揮します。

(1)地域から核兵器禁止条約への参加の声を
 核兵器禁止条約は、市民や自治体の取り組みがその実現に大きく貢献しました。平和市長会議の呼びかけに応え、核兵器禁止条約への日本政府による署名、早期採択へ向け自治体・議会としても積極的に取り組みます。
*参考:http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1333414321137/index.html 

(2)立憲主義の実現、透明で公正な政治を地域から
 国で横行した文書の改竄・捏造。自治体でも不透明な意思決定、根拠があいまいな補助金支出、根拠が不明確な運用が珍しくありません。憲法が保障する地方自治の現場でこそ立憲主義に基づき憲法の理念が根づく政治、透明で公正な政治を地域から創り出します。

(3)地域から多文化共生社会を
 地域で暮らす外国人は部外者でも単なる労働力でもなく、共に生きる仲間です。外国籍市民の暮らしや労働実態を把握し、生活や医療を支え、ヘイトスピーチなど差別を規制し、相互理解を図る取り組みを強化します。地域社会を構成する一員として地域自治への参加を拡大します。

(4)国境を越えた新たな都市間連携を
 日本で頻発する災害で、自治体に蓄積されたノウハウは国境を越えて活用できる可能性があります。現在形骸化している「姉妹都市」を超え、災害・温暖化・紛争・貧困問題など、国際的な共通課題に取り組む新たな都市間連携による国際協力を創り出し、自治体も平和や安全保障の主体として貢献します。

(5)地域の「安全」のために自治体から発信を
 沖縄の辺野古基地建設問題は、地方主権と民主主義や人権が強権政治によって脅かされている問題として、沖縄だけでなく全国の自治体が沖縄県民と知事の姿勢を支持して声を発し行動すべき重要な課題です。「本土」でもオスプレイの配備や米軍の訓練が拡大・強化されているなか、自治体として地域の安全を守る取り組みを強化し、全国知事会などとも連携して日米地位協定の改定を求めます。

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